'82年からグループBレギュレーションで戦われることが決定していたWRC（世界ラリー選手権）には、この時期ヨーロッパ中のビッグメーカーがエントリーのチャンスを虎視眈々と窺っていたかのように見えた。それはBLMC改めBLカーズも例外ではなく、ミドシップ＋4WDという当時の最先端を行くスーパーマシーンを、MGメトロ・ベースに製作した。開発には“ウィリアムズ・グランプリ・エンジニアリング”社のテクニカルディレクター、あのパトリック・ヘッドが密接に関わっている。'85年に発表されたメトロ6R4は、ローバーV8エンジンをベースとした総アルミ製90度V型6気筒4OHC24バルブという極めて高度なユニットを、メトロのモノコックをベースにしつつも後半部を鋼管で新造したフレームに搭載した。エンジンは当時のトレンドだったターボを、スロットルレスポンスやスムーズな吹け上がりのために敢えて拒否、3リッターの大排気量NAとした。搭載位置は縦置きで、ビスカス式のセンターデフを介して4輪を駆動した。グループBホモロゲーションに規定された200台＋αを生産したが、他のグループB車両と違うのは、このMGメトロ6R4はまず20台がファクトリーチーム用に確保されたのち、残りの180＋α台はすべてクラブマンバージョンとしてプライベーター達に引き渡され、ロードバージョンのデリバリーがなかったことであろう。

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